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保護猫をリリースすることは動物愛護団体はするのか?多分それは保護目的ではありません。

保護猫をリリースすることは動物愛護団体はするのか?

 
よく動物愛護団体が捕獲器を使って猫を保護しているのに、後日見たらその猫をリリースしていた。
そんな疑問を抱く人がいるかもしれませんが、それは保護目的でやっているわけではなく、これ以上保護する猫を増やさないためにしています。
どんな活動かを書いていきます。

 

 
猫をリリースする意味

 
動物愛護団体だからといって、なんでもかんでも外にいる猫を保護しているわけではありません。
もし、猫が人間にあっという間に懐くような動物であればそうします。
けれど、野良猫生活が長い猫ほど人に懐くのは難しく、触ろうとしたら攻撃してきます。

 

 
それでも動物愛護団体なんだから保護してやれよ。
そう思う人もいるかもしれませんが、逆の立場になってみてください。
全く懐かない猫がどんどん増えるとどうなるでしょう?
答えは、もうこれ以上保護できなくなり活動がストップしてしまいます。
なので、動物愛護団体は保護するかどうかかなりシビアに見極めています。
言い方が悪いかもしれませんが、私たちは命の選別を日々迫られていて、本当は全ての猫を幸せにしたいという想いはありますが現実的に不可能です。
もっと猫が減って野良猫が珍しい社会になればまた話は変わりますが、現状は生まれてくる猫が多くそこまで手が回りません。

 

 
なので、その現状を変えるために地域猫活動、TNR活動という外で暮らす猫の虚勢不妊手術をきて元の場所に戻すことをしています。
ちなみにTNRとはTrap・Neuter・Return(トラップ・ニューター・リターン)を略した言葉です。

 

TNRとは
https://www.itsumohesoten.jp/tnr%E3%81%A8%E3%81%AF/ より引用

 
 

その地域に暮らすすべての外の猫が手術済みになると確実に猫が減っていきます。
他の地域から餌を求めて流れてくる場合もありますが、引き続き手術していない猫がいないか見続ける必要があります。
手術をしているかどうかを外見で判断するために、手術済みの猫は耳をV字型にカットして目印をつけます。

 

 
TNRはかわいそう?反対意見も多い。

 
この話を全く猫のことに関心がない人が聞くと、なにそれかわいそうという話になってしまいます。
外で暮らす猫を捕まえてメスであればわざわざお腹を開いて手術するなんて非人道的であり自然界に無闇に手を出すべきではない。
そう思われるかもしれませんし、私もそう思ってます。
こんなことしなくてもいい世の中にしたい。
けれど、猫の問題は全世界共通で放っておくとたくさん増えるし、増えたら殺処分しなくてはならない。
TNRの発祥の地、イギリスでは外で暮らす猫の手術が進みその活動がヨーロッパをはじめ各国で広がり取り入れている地域は生まれてくる数も殺処分数もロードキル数も減っています。

 

 
猫なんだから産ませてやればいい。
そう思われるかもしれませんが、多くの子猫は生まれてから大人に成長するまでに亡くなります。
車に轢かれて死んでしまう子もいれば、風邪を引いて衰弱してしまう子、授乳期に親猫とはぐれてしまう子など様々な理由があります。
猫は一度の出産で3〜6匹くらい産むことが多いですが、頭数が多いということはそれほど生存確率が低いのでしょう。

 

 
TNR活動は意味がないのか

 
猫を手術したところで減らないでしょ。
そんな声も聞こえてきますが、私は何度もたくさんの猫が住む地域を見てきました。
自腹で手術に連れていくことが多かったですが徹底的にやることでその後子猫が生まれることはなくその地域は次第に猫が減っていきます。

 

 
そもそもその地域に猫が集まる理由は誰かが餌をあげていて、周りの地域から猫が寄ってきてオスとメスが交尾し出産し、というループがキッカケになりやすいのですが、TNR活動をする時はその地域で餌をあげている人を見つけることも大事でその人と連携しながら耳カットしていない猫がいた時にどうするか決めておくと確実にその地域で猫が生まれる確率が低下します。

 

 
多頭飼育崩壊が起きた場合は不妊去勢手術は絶対にやるべきです。
飼い主に所有権がある場合で手術は嫌だと言われたらかなり厄介ですが、手術を全頭することでそれ以上増えることなく多頭飼育崩壊の解決の糸口が掴めます。

 

 
TNR活動、地域猫活動が進んでいる東京都では山手線の内側ではほとんど野良猫がいなくなったそうです。
はたしてそれが良いことなのか意見が分かれますが、子猫が生まれてこないので保護する必要もないこと、不幸な死に方をすることもないということは間違い無いです。

 

 
TNRのリリースのタイミングは?手術後何日がおすすめ?

 

去勢不妊手術をしたら猫にとってはかなり体にダメージがあります。
オス猫なら金玉を取るだけなので比較的マシですが、メス猫はお腹を開くので麻酔が切れた後、とても痛がります。
私の家の初めて保護した雌猫は手術後3日くらい動かないし食べないしでとても心配しましたがそれほど体に負担があることです。

 

 
なので、術後は少しおとなしくしておくことが大切で、動き回ってお腹の傷が開いたりしないように一泊家で様子を見てあげることをおすすめします。
とはいえ捕獲器に入った猫を家の中に置いておくのはなかなかの場所が必要ですし、体についていたノミが家の中に侵入してしまうことも。
洗面所など狭くて掃除しやすくて扉を閉められるようなところがおすすめです。

 

 
家の環境や事情で猫の保護活動ができなくてもこうやってTNR活動を進めていく猫活動者も多いです。
数年後に効果を発揮するとても大切な活動です。

 

 
手術費用は誰が出す?

 
わざわざ外で暮らす猫を捕獲器を使って捕獲して、病院まで連れていき手術代を支払い、また元の場所へ戻す。
時間もお金も手間もかかる活動です。
昔はこういうことを多くの方が自腹でやっていました。
もうこれ以上猫を増やさないためにと善意の活動でした。

 

 
しかし、近年では行政が殺処分を減らすことを進めており、地域猫活動といってその地域で手術した猫の餌場とトイレを担当する人を決めて、一代限りの命を見守る活動に補助金を出すことも多くなってきました。また、行政がお金を出さなくても公益社団法人どうぶつ基金さんがチケットを発行して連携動物病院へ連れていくことで無料で手術できるようになっています。
基金のチケットは全国の猫のことを思いやる方々の寄付によって賄われています。

 

 
最近はスペイクリニックという安価で手術をできる病院が都心部を中心に増えてきました。
私の住む宝塚市では、車で1時間の範囲の中に
・伊丹ねこスペイクリニック
・のらねこさんの手術室
・ねことわたしスペイクリニック
・一犬猫病院
と4つもあります。
地方では車で2、3時間かけないといけないような環境が多いので私は恵まれていますが、こういう病院が増えれば確実にTNR活動も普及し、負担が少なくできます。

 

 
ちなみに関西の手術費用は
一般病院でオス15000円前後、メス25000円前後
スペイクリニックでオス4000円前後、メス8000円前後が相場です。
スペイクリニックがなかった時代は正直外の猫を手術するということが活動の負担になりしんどかったです。

 

 
野良猫が手術後戻ってこない

 
手術してリリースしたけれど、餌を食べにこなくなった。
時々あります。
理由として考えられることは、オスの場合金玉を取ると大人しくなりもしかしたら縄張りから追い出されてしまっているかも。
他には違う餌場を見つけたことも考えられます。

 

 
手術後に死んでしまうから来なくなったということはほとんどないと思うのですが、理由を解明するのは難しいのでなんともいえません。
私も手術した猫のその後が気になりその地域に行ってみたりもしますがその地域にとどまる猫とそうでない猫がいます。
そもそも猫はいろんな場所に移動していく子もいるのでその地域でずっと暮らす性格の子もいれば広い範囲で暮らす猫もいるので心配ではありますが外で暮らす以上は仕方のないことでもあります。

 

 
野良猫の寿命は短く、3〜5年と言われています。
冬は寒くて風邪をひいてしまうと自分の免疫力で治せなかったら死にます。
そのくらい致命的な病気であり、外で暮らすということはとても過酷なことです。
毎日ご飯を食べられるわけでもない猫もいます。
車通りの多い地域に住む猫もいます。
様々な理由で死んでしまうのですが、私個人の意見としてはやはりTNR活動は大事で外で暮らす猫は幸せだというのは人間の勝手な発想なのかなと思います。
冬に寒くて眠れず朝を待つ猫の気持ちを考えるとなんとか暖かい場所を提供したいし、猫が望むのであれば家で暮らせるようにしてあげたいです。

 

 
まとめ

 
動物愛護団体は猫を遺棄するためにリリースしているわけではなく、手術をしてその地域での繁殖を止めるためにやっています。
それはあまり注目されず、子猫を保護している人に注目がいきがちですがとても大切な活動です。
この活動をすることが殺処分を減らすとても有効なアプローチになります。

 

 
猫を保護するということはとても覚悟のいることです。
懐かない猫は貰い手がほとんどいないし、貰われなければ最後まで面倒を見ないといけないです。
すべての猫を保護できるわけではありません。
なので本当は誰もやりたくないこの活動ではありますが、やるしかない。

 

 
もし地域にこういう活動をしている人がいたらぜひ応援してください。
手術後の猫を一緒に見守ることができるのであれば餌やり当番を交代でしながらその地域の猫が飢えずに幸せに一代限りの命を全うできるように協力してください。
そして外の猫も幸せになれる環境も皆でつくっていきたいですね。
トルコでは公園に猫の家が設置されているそうですが、そのくらい動物に対する優しい考え方が日本でも広まれば嬉しいです。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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